2017学祭ライブレポート&インタビュー

更新日:2017/12/25

 11 月 2・3日と日を重ね徐々に学生たちのテンションも最高潮に達した最終日。そして、待ちに待った豪華ゲストを招いたライブイベント「colorful〜十人十色〜」の日!
 関西を中心に活躍する3バンドで、1組目は、テレビ番組やCMなどに多くの楽曲提供をしている人気ジャズバンド・カルメラさん。2組目は、バンドコンテスト『Battle de egg』の最終審査でグランプリ受賞したこともある実力派ROCKバンド・iNtElogiQさん。そして、3組目は、最多11回出演のワタナベフラワーさんの順番で、会場を盛り上げてくれる。
 ジャンル、メロディ、リズム、そしてファン層がまったく異なる彼ら。まさにカラフルというテーマに相応しいラインナップに。
 「え!? もう15時前!? まだまだ話足りないのですが、開演時間になりましたので、思う存分に楽しんでいって下さい! それでは開演でーす!」

Calmera

 開音一番。インストゥルメントジャズらしいサウンドが会場に高らかに響き渡る。
普段聞き慣れていない音楽のはずなのに、ビートを刻むシンバル音や突き抜けるような金管楽器特有の音が観客の心を揺さぶる。思わず手拍子したくなる軽快な彼らのリズム。一瞬のうちに一曲目が終わり、その頃にはもうカルメラカラー一色に染まっていた。
 対バンの最初、学生の年齢、そしてジャズという敷居の高さ。色々な障害を一気に飛び越え、音楽にそんなものはないとカルメラのハーモニーで雄弁に語る姿はとてもカッコよく、ジャズを初めて聴く学生たちの心を虜にした。
 「音楽は老若男女が楽しめるもの」と取材時に語った彼ら。それをこの学祭ライブで見事サウンドだけで証明してくれた。今回はそんなCalmera 劇場の舞台裏の秘密に迫る。

ー まず始めに素朴な質問なんですが、メンバーの年齢層が幅広いですよね。どういう経緯で集まったメンバーですか?
「音楽活動していく中で、アイツいいなぁって思ったら、“うちに入らないか?”って声をかけました。ドラクエ方式ですね(笑)」。

ー ドラクエ方式(笑)わかりやすい例えですね。
ー どんな場所で出会ったんですか?
「基本は共演したメンバーに、初対面やけど「イイやん」って。で、何となく活動をチェックしてて、あのバンド解散するな、やれへんか?って誘いました。他には、助っ人として、メンバーの知り合い呼んできて、一緒にスタジオ入ってみていいなぁって思ったら入らないかとか。まぁ、色々です。昔はメンバーが入れ替わり立ち替わりしてたんですけど、今のメンバーになってからはもう6、7年になります」

ー 学生の私からすれば、ジャズって少し敷居高く感じます。そんな学生たちに、ジャズの魅力を教えて下さい。
「日本語の歌を歌っているバンドさんやったら外国に行った時“何言ってるかわからんな”ってところが絶対に壁になってくると思う。そやけど、俺らのは、歌詞がない音楽やから、シンプルに言葉の壁を感じない。外人さんが聴いても楽しめると思うし、インストにはそういう力や魅力があると思っています」

ー なるほど。だからジャズを?
「それもありますが、インストの中で、僕らの好みのジャンルが単純に “ジャズ”やったっていうだけですかね」

ー では、みなさんが影響を受けたアーティストとかはいますか?
「僕たちの先輩的なバンドのSOIL&”PIMP”SESSIONS っていう人たちにはお世話になりましたし、音楽的にもすごく影響を受けましたね」。

ー 他には?
「スカパラ(東京スカパラダイスオーケストラ)とかPE’Zとかジャズの時代を築いてきたバンドの人たちの影響も、もちろん受けてます。元々クールでかっこいい、クラブで踊れるようなアシッド・ジャズのバンドを作りたくて結成したんですけど、かっこつける感じのって性分に合わなくて。ここに面白い要素とかお客さんがクスッと笑えるような要素が入っている曲作りをここ10年していたら、クラブジャズの要素はぐっと減っちゃいましたね(笑)」

ー 今回の学祭のセットリストはどのように決めましたか?
「学生の皆さんにも僕らの魅力を伝えたいので、今一番旬な商品並べましたみたいな(笑)今一番熱いラインナップを持ち時間いっぱいに入れた感じですね」

ー 学祭や普段の演奏で工夫や心掛けていることはありますか?
「フェスとかだとリハーサルがないことが多くて、サウンドチェックをお客さんが見ている状況下でやらなきゃいけないんですけど、そういう時とかに、俺らの持ちネタじゃないようなみんなが知ってるような曲でサウンドチェックしてますね。SMAP の曲をジャズバージョンで演奏してみたり、“なんかあいつら面白そうやな”って思ってもらえるような工夫をしています」

ー 先程カルメラさんは歌詞がない音楽だから、外国の人が聴いても楽しめるとおっしゃっていましたが、海外公演も多くされていますよね。日本公演との違いは何かありますか?
「行く国や地域とかで知らない状態で僕らがライブしても掴みがない。だから、掴みとして、始めのオープニング曲は、その国の国家や流行っている曲をちょっとカルメラ流にアレンジして、“おっ”て思わせるような工夫をしています」

ー それは盛り上がりそうですね。
ー 他にはありますか?
「MC とかアジテーション(観客を煽る)する部分に関しては、わかりやすい英語や現地の言葉を使ったりして、お客さんを置いていかないような歩み寄りをしています」

― 今回のインタビューは学生の読者がメインなのですが、学生時代に「これやっとけばよかったな~」とか、逆に、私たち学生に「これしといた方がいいよ」というアドバイスはありますか?
西崎「大人になってくると、時間が全然ないやん!ってなる。やりたいなぁって思っていた時間を、確保する時間もなくなってくる。『あとでいっか』とかなって。だから、若いうちは後回しせずに、興味沸いたことはすぐに飛びついてやった方がええと思う」

― 時間って大事ですよね。
宮本「そうそう。時間って無限にあるもんやと思ってても、大人になるにつれて限りなく少ないんやって思ってくる」

― 働き出すとそうなるんですね。
宮本「だから、自分が無限にあると思えている時に、自分にプラスになるようなことをどんどんと体験しておいた方がいい。色々なことに挑戦しておかないと視野が狭くなるから、視野が広がることをどんどん体験するといい」

ー(取材スタッフかなり納得しての)へぇ、なるほど。
辻本「何かやっていることがあるなら、マジでやっておいた方がいい。バランスはあるんやけど。でも、オレ的にはバランス良くどれもこれも頑張りなさい、っていう方がいいと思うねん」

ー 何でも経験しておくことも、時間の使い方も大切ですよね。
辻本「オレは音楽ばっかりやってきて、結局、楽器の道を選んだからいいけど。あと、楽器の道の先輩とかがクラブに遊び来た時とかに、“ホンマ、自分ら学生の時にマジで時間あるから練習しときや。オレらみたいにプロになったら、練習の時間とか絶対に取られへんから、ホンマに自分ら今のうちに練習しときや。”そう言ってくれる先輩がいたから良かった」

ー すごくいい先輩がいましたね。
辻本「先輩にそう言われてからは、ちゃんと練習したつもりやけど……。それでも、終わってみて、今になってみたら、もっとやっとけば良かった!ってなった。あの時、刃牙(漫画『グラップラー刃牙』)3周目読んでる時間あったら、2周で良かったぁ~(泣)。あの1周の分で1週間ぐらい費やした分を減らして、ちゃんとしとけば良かったって(泣)」

― 学生でいられる時間って限られているし、とても貴重なんですね。
西崎「まぁ、脱線してしまったけど、綺麗にまとめるとカルメラのメンバーは、若い時“音楽”に夢中になった人たちが結果的にこういう風に集まったという話なんですよね。僕とかはほんまにそうで、中2の時にバンドしたいなって始めて、バンドしよって思ったことしかないまま、気付いたら40歳やったんですよ。だから、よくバンドしてなかったら、何してますか?って聞かれるんですけど、何も思いつかないんですよね。」

 最初、緊張でガチガチになっている私たち3 人の空気を和らげてくれるように、終始楽しく面白く話を盛り上げてくれたカルメラさん。そんな人柄が表れるようにライブでもお客さんを様々なところで楽しませる工夫がされていました。そんなカルメラさんのこれからの活躍に、注目していきたいです。

iNtElogiQ

 エッジの効いた重厚感のあるロックギターが魅力の実力派ロックバンド・iNtElogiQ。
今回の学祭はいつものライブよりも長めのロングバージョンでお届け! 「普段よりも演奏時間が長いので、本当に楽しみです!」と、ライブ前からモチベーションはかなり高め。その勢いと熱量をそのままにステージへ上がる。そして、快心のROCKサウンドで華々しい登場で会場を湧かせた。
 彼らの出演は2組目で、前バンドの余韻が残るポップな雰囲気だった。しかし、オープニングで一気にiNtElogiQワールドへと一変させた。そんな彼らの魅力に迫る。
 取材テーマの主軸は、LOVE&PEACEな目線で描かれた詩を、vo.桐原誓弘のハイトーンボイスが歌い上げるエモーショナルな世界観の創作秘話。さらに突っ込んで、自己表現法やそのルーツなどかなり濃い話に。メモ必至の内容ですよ! メモの用意はいいですか? それでは、存分にiNtElogiQの世界をお楽しみ下さい。It’s Show Time!

― 学祭ってどんなイメージがありますか? 
「学園祭、フェスっていうからには、お祭り的なイメージがあるんで、みんなで美味しいもん食べて、お酒も飲んで楽しもう!っていうイメージがあります。あれですよ、お酒は20歳(はたち)になってからですよ(笑)」

― 学祭ライブのセットリストのテーマがあれば教えて下さい。 
「普段のライブでは、大体20分か30分やっているんですが、今日の学祭は、ロングステージになっているので、今までのライブとはちょっと違う部分や普段出来ない曲数になっているので、見応えはあると思います」

 ― iNtElogiQ一同うんうんと頷き納得。
「そうそう! もうちょっと長いステージだったら、本当はこの曲もあの曲もやりたいってなる。だけど、30分ステージじゃ流れ的にやりにくいからできない。でも、今回の学祭では、両方とも演奏できたりできるので、とても演奏し甲斐があります」 

― 学祭でしか聞けないライブになっているんですね。 
「そうですね!まぁ、基本的には、僕らは賑やかな曲が多いんですが。でも、気がついたら、賑やかな曲ばっかりになっていたので、箸休め的な曲も入れたりして、長いライブならではのセットリストになっているかなっています」

― 逆に普段のライブはどんな感じ演奏曲は決めているんですか? 
「普段は20分~30分のライブで大体5曲ぐらいやるんですが、これやるならあれは抜けよう、あれやるなら、これは抜けようって、A、B、C、Dみたいなパターンがあります」 

― 普段のライブと学祭との違いを教えて下さい。 
「学祭には、普段ライブハウスに来ないお客さんや自分たちを知らない人を中心に、不特定多数の人に見てもらえたり、知ってもらえるのが魅力です」 

― iNtElogiQ一同があーっと相槌を打って、全員納得。 
「フェスとかもそうやな。今回の学祭ライブやから、学祭ライブを例にあげると、今回は3組でるじゃやないですか、僕らは2組目で、1組目を見た人たちがこのまま残ってみてくれる人とかもいるし、僕らのあとの3組目を見たいがために先に会場に着いた人とかをどれだけ唸らせれるか、というところも自分たちの腕試しな所があるから、よし、やったるぞ!っていう気持ちになります」 

― iNtElogiQさんは、カッコイイライブパフォーマンスが魅力ですがどうしたらあんな風になれるんですか? 自己表現や演出方法について何か学生にアドバイスがあれば教えて下さい。 
桐原「自分らしさって結局自分では分からないですよ。やっぱり、人から“桐原くんはこうだよね”って言われて初めて気付くことが多いです。でも、最初は“いやいやそんなんちゃうし!そんなつもりちゃうし!”って否定したり、“何でそんな風に見えるんやろ”って違和感しかなかった。でも、やっぱり、同じ意見をたくさん周りから貰ったら“やっぱ、オレってそうやったんかなぁ”って思ったりします。それが自然と自分らしさになっていくかなぁって思っています」 

森本「人と喋るのと同じだけど、結局、自分が周りにいい風に思われようって思うから、自分が出されへんのやと思います。それが全部取れた時の自分が自分。自分らしさなんかなぁって思います」 

― それはライブでも感じますか? 
桐原「感じます。前に“桐原くんってライブになったら別人だよね”って言われたことがあって。普段、僕はこんな緩い感じですけど、ライブやったらスイッチ、パンって勝手に入るようになっていて、そうなんかなぁって最近では思っています」 

― なるほど。 
「お客さんが鏡になってくれていますよね。だから、自分のライブで巻き込む人が多ければ多いほど、自分らしさの輪郭が出てくるかなぁって思います。だから、僕らはもっとたくさんの人たちの前で演奏できるようになればいいなぁって思います」 

―ライブ前などに自分の気合いを上げる方法やルーティンってありますか? 
桐原「僕はないんですよ。飲み物はこれで、前日はこういう活動してみたいなものとか、昔はそういう決め事をしてあったんですが……。でも、そのルーティンができなかったら、不安なままライブをやってしまうことになると思ったんで、今は止めました」 

― 僕はルーティンがあったんで、その考えた方はとても新鮮です! 
桐原「もちろん、それができる時やったら、気持ち整ってヨッシャー!こんだけしたんやから、いけるやろってなるんですけど、必ずしもそれができるとは限らない。やっぱり、いついかなる時も“はい、やって!”って言われた時に、バーンって自分を出す! それこそ、自分らしさを出すんやったら、そんなことに囚われんとこうと思っています。だから、今は、むしろ何も考えないようにします。要は、気持ち、心をリラックスさせるって大事かなぁって思いますね」
森本「僕らって真面目を拗らした不真面目な集まりで、でも、根は真面目やから、考えれば考えるほど、わぁーってなるんですよ。だから、普段、頑張ることが前提で、ステージの上では、良い意味で“もう頑張らんとこ”って思うんですよ。頑張らんでいいわって思えるようになりました」

― ステージ上では、自然体でいることが大事ってことですね。 
森本「そう。逆に、いっぱい練習したりしたこともあったんですよ。寝てても身体が動くだろうっていうぐらい何回も何回も同じ曲ばっかり練習したこともあったんですけど、それが逆にプレッシャーになるんです。こんだけ練習したんやからいけるやろって。いけるやろ。いけるやろ。いけるやろ、ムリーーーーーーーーー!!」 

― iNtElogiQ&取材スタッフ全員大爆笑。 
森本「頑張り過ぎてテンパった感じになってくるから、だからもう頑張らんとこって思った方が、リラックスして音楽にグッて集中できて、良いパフォーマンスができます」 

 iNtElogiQらしい叙情的なライブの裏側には、「果敢に挑戦する熱い気持ち」が後押しするものに違いないとインタビューの節々から伝わってきました。そして、感情の赴くままに、自然体のままで歌いながら観客と共鳴し合い、iNtElogiQ空間を創り出しているようだ。そして、私たちはそんな姿に見とれてしまい、思わず「カッコイイ!!」と言ってしまうのだろう。やっと腑に落ちました。そんな素敵な時間をくださったiNtElogiQのみなさん、本当にありがとうございました。

ワタナベフラワー

 VAOの学祭に11回目と最多出演の記録を誇るワタナベフラワーがトリを飾る。毎回、登場の演出が凝っているので面白い。
 今回はなんと、VAOの映像学科とコラボして、北極からVAOまでを空を飛んでくるという設定。中継テイストの爆笑演出で登場した!  プレミアムな演出に、VAO生を中心に会場のボルテージはMAXに。
その勢いをそのままに、全力疾走で1時間を駆け抜けて行った笑いと歓声が鳴り止まない笑顔満点の「おもてなしライブ」への意気込みとそのルーツについて、御三方に尋ねてみた。

―VAOの学祭ライブが11回目ですが、率直な感想を教えて下さい。
「3年ぶりやし、同じ学校に11回も呼んでもらえるなんて嬉しいです」

ー10年間呼ばれ続けてる理由はあったりしますか?
「最初、ビジュアルアーツの先生と口約束で10年契約をしてそれからあっという間でしたね」
ーそんな出来事があったんですね。
「そうですね、もう10年も、今もずっとバンドを続けられているのも良かったなぁって思っています」

―初心と変わらずのお気持ちですか?
「昔よりは、楽しめるようになってきたと思います。昔は、したいことばっかで、ワガママやった気もします。でも、今では、色々とできるようになって、ほんまにお客さんとかと一緒になっているから、楽しいですね」

―では、学祭ライブの意気込みを教えて下さい。
「学生さんとかと接するチャンスはそんな多くはないので、2、3人にはモテたろうっていう気持ちがありますね。クマちゃんLINE交換してよって言われるぐらいにね(笑)。ご飯連れてって下さいって言われるぐらいに熱狂させたいですね(笑)」

―ライブでのモテの極意とかってあるんですか(笑)?
「それは僕らに聞くことじゃないっすよ(笑)。今回は19歳、20歳ぐらいの女子にはモテないんで、だから19歳~21歳の女の子でクマちゃんいいって言ってる子がいたら、お前センスあるわぁ~ってご飯連れてったろ!ってなりますね(笑)」

― えーー!ほんとですか!?めっちゃかっこいいじゃないですか!
「オッサンにはモテるんですけどね。まぁ、根本には、女の子にモテようと始めたバンドなんですけど、同世代の男の人にワーって言われるのは、すごい嬉しいなぁって思っています。でも、女子ですよね! 叶わぬ願いですが・・・。記事のタイトルは、20代前半の女子来い!文字は太字でお願いします(笑)」

― 了解しました!(笑)
では、本題に。今回の学祭のセットリストのテーマはありますか?
「ないですね。何ならセットリストを決めたくなかったです」

―普段のライブでもセットリストは決まっていないのですか?
「決まっていないです。最悪、始まっても決まっていないです(笑)。1曲目これで、2と3空いて、最後これです。ってスタッフさんに言っています(笑)」

―その理由を教えて下さい。
「ライブって変化しているものだからです。だから、MCの時に、5歳ぐらいの女の子がバーって来て“『てんとうむし』歌って!”って言ったときに、僕は無視できないんですよ。そん時に、ごめん、次の曲は、ちょっと俺の離婚の歌なんやってできないじゃないですか!だから、決めきってやりたくない。その時、その瞬間の、お客さんの空気感とか、自分が歌いたい曲とか歌うべき曲とかを、その時にジャッジしたいんですよ。だから、決めるのんはイヤなんです。目の前の女の子の言葉の方が大事なんです」

―なるほどー。
「そして、自分の感覚も大事なんです。ちゃうな!って感覚で歌いたくないんで。そうそう!と思ってみんなでやりたいんで。色んな流れがあるので、ほんまは決めたくないですよね」

―だからいつも本当にライブ感があって面白いんですね。
「普通は嫌になることの方が多いと思うんですけど。僕らは年々楽しくなってきています。僕らみたいなバンド、面白なかったら死んだ方がいいって!いやほんまに!1年に1回ぐらいシャワーから出てこられへんぐらい落ち込む日があるんですよ。そんな時、自分で死のうって。あーあかんわ!って思うけど、ほんまに思うもん」

― それぐらい命をかけてライブをやっているってことですね。では、ワタナベフラワーさんにとってライブとは?
「30分のライブって、ただの30分間のライブじゃないんですよね。僕、今38歳なんですけど、38歳分の30分になる。僕の38年間を打ち込んだことすべてなんです。それがおもんないんやったら死んだ方がマシやね(笑)。そうならないために、まずは自分たちが楽しんで演奏することが大事かなって思います」

― 最後に、キーワードに出ていた「楽しいライブ」について教えて下さい。
「ディズニーランドって何が凄いか分かります?」

― 世界観が作り込まれていることですかね。
「僕はね、思いやりやと思うんですよ。お客さんに夢を見させてあげるっていう思いやりを持つことが大事やと思うんです。ディズニーランドは、“思いやりの塊ランド”やと思うんですよ!」

― ホスピタリティ精神ってことですかね。
「そう、ホスピタリティ! だから、ワタナベフラワーの場合やったら、ムサやイクローが言ったことを滑らさんようにしようとか、お客さんが思っていることを受け止めてあげようとかが大事やと思います。そして、僕(クマガイタツロウ)に対しての、自分への思いやりも必要。そんなんを全部ひっくるめて、“オレ(クマガイタツロウ)はこういうことがやりたいねん!”っていう中で、すべての人を思いやりたいです。ミッキーもそうか、そうですよね。ミッキーという世界観があって、その中のやりたいことがある中で、ディズニーランドに来た人すべてに対して、お客さんも自分もが楽しいのは当たり前で、スタッフさんとかも含めて全員が楽しめていているのがすごいと思いますね。」

― なるほど。それは本当に思いやりの塊ランドですね。
「だから、お客さんだけが楽しいっていうのも嫌で、オレらだけ楽しいのも嫌です。僕らのライブもそうで、裏方さんとか、みんなも楽しくやってほしいなぁっていつも思っています。僕らなんて、フェーダー(ミキシング卓の摘みのこと)一個落としたら、何にも誰にも届かないし。照明を消されたら見えへん。誰かが線ちぎったら、終わりですよ! だから、イベントは裏方さんが楽しんでいる画があって、お客さんが楽しんでいる姿が僕らの理想です」

― イベントに参加するすべての人が楽しめるライブにしたいってことですね。
「そうそう! だから、ワタナベフラワーのライブは思いやりの塊ランドにしたいんです」

―あーなるほど! だから、マニュアルが嫌いって言っていたんですね。
「そうそう。だから、案内してあげること1個だってそうやし、困っている人への助け方もそうやし、色々なアクシデントがある中で柔軟に対応していく。それは、マニュアルじゃできないことなので。だから、僕らはライブ感を大事にし続けたいと思っています」

 元気で面白い彼らのパフォーマンスには、ライブ会場にいる全ての人達を楽しませたいという”思いやり”の心が詰まっていた。そんな優しいワタナベフラワーさんは、まさに“思いやりの塊バンド”と自負するに相応しい程の愛でいっぱいに溢れていたバンドさんだった。

* * *

 普段聞き慣れないサウンドに触れ、新しい発見と感動にする会場。音楽は、世代を超えて人を幸せにするエンターテイメントだと改めて実感することができた。そして、「音楽ってやっぱり最高!」と言わずにはいられない気分にさせてくれた3バンドに感謝したい。
「皆さんの音楽のおかげで、元気に、笑顔に、そして幸せな気分になれました! 素敵な1日をプレゼントしていただき、本当にありがとうございました」

ビジュアルアーツ専門学校写真学科
取材スタッフ一同

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お知らせ


Calmera 9枚目のフルアルバム「JAZZY GOLD CHAIR」2017年11月22日発売
Calmera 公式WEB
http://www.calmera.jp

iNtElogiQ 公式WEB
http://intelogiq.wixsite.com/official

ワタナベフラワー 公式WEB
http://watanabeflower.com

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